住宅の性能

地震に強い家を建てるため 必ず検討したい4つのポイント

  • 地震に強い家にするにはどうしたらいいの?
  • どこの建築会社も「地震に強い」ってPRしてるから違いがよくわからない
  • 地震の難しいことはわからないから、ポイントだけ教えて

世界で最も地震の脅威に晒されている国、日本。

日本に住む以上は地震の影響は残念ながら免れられません。いつ起きてもおかしくない地震に対して住まいを強くすことは、家づくりの最も大切なポイントの一つです。

とはいえ、地震も建築も、専門的でとても難しいしよくわからない。

そんなあなたのために地震に強い家にするためのポイントをまとめました。あなたとあなたの家族を守るために、是非とも真剣に考えてみましょう。

では、本当に地震に強い家を建てるにはどうしたら良いでしょう?

建てる建築会社・ハウスメーカーにによってできることは変わりますが、以下の4点を意識してみてください。

地震に強い家を作る 耐震の公的な2つの基準

耐震に関する基準は、公的には2つあり、それが「耐震基準」と「耐震等級」です。

最初からショッキングなことをお話しするようですが、この2つの基準を守っていたら地震に強いかと言われたら、そうではありません。

耐震基準

まず「耐震基準」

建築基準法という法律で定められた耐震についての基準です。一番近年では2000年に「新耐震基準」が制定され、それまでよりも厳しい基準となりました。

ただ、残念ながらこれはあくまで「法律を満たしている」だけ、もっときつい言い方をすると「欠陥住宅ではない」という基準です。

事実、2016年の熊本地震では、新耐震基準で建てたにもかかわらず倒壊した家がたくさんあったのは有名な話です。

建築は高いレベルを求めると、当然ですが相応の高い専門的な技術力や多額の費用を要します。このレベルが高すぎると、対応できない建築会社、費用を払えない建築主が多くなってしまうために、法律ではあくまで「最低限」のラインを決めることしかできません。

なので、耐震基準を満たしていれば良い、というわけでは全くありませんので注意が必要です。

耐震等級

これは耐震基準とは別の基準で、「品確法」という法律の一部にある、耐震のレベルを表す基準です。

耐震等級は、耐震等級1〜耐震等級3まであり、それぞれ以下のような基準です。

耐震等級1

数百年に一度発生する地震の地震力に対して倒壊、崩壊せず、数十年に一度発生する地震の地震力に対して損傷しない程度。

耐震等級2

等級1で想定される1.25倍の地震が起きても倒壊・崩壊しない

耐震等級3

等級1で想定される1.5倍の地震が起きても倒壊・崩壊しない

耐震等級の基準は建築基準法の耐震基準よりも厳しい基準であり、公的な耐震についての基準ではこの耐震等級3が最も高い基準です。よって、耐震等級3は必ず満たしておきたい基準です。

ただし、この耐震等級3も、地震に強い家のための必要条件ではありますが、十分条件ではありません。耐震等級3だけでは不十分なのです。簡単にその理由を挙げると、

耐震等級の基準は甘い

→耐震等級3の想定地震は600ガル(ガルとは地震の大きさを示す数値)。一方、阪神大震災:891ガル、新潟中越沖地震:2058ガル、熊本地震:1580ガル、東日本大震災:2933ガル。そもそもの想定レベルが小のです。

構造計算していない建物が多い

→詳しくは後述しますが、構造計算というちゃんとした耐震計算は法律で全ての建築に義務付けられているわけではないため、構造計算をしていない建物が木造建築には数多く存在します。

「倒壊しない」と「損傷しない」は別物

→数百年に一度の地震には「倒壊しない」、一方「損傷しない」のは震度5強レベルなのが耐震基準です。要は、仮に倒壊しなくても、家はボロボロになって住めなくなって、ローンを背負いながら仮設住宅暮らしを何十年も余儀なくされる可能性が残るのが、耐震等級です。

詳しくはこちらをご覧ください。

耐震等級3では不十分!?その理由と対策を知りたい方はこちら!

では、どうしたら地震に強い家を作れるでしょうか。

そのポイントをまとめました。

地震に強い家のポイント① 構造計算を必ず行う

一戸建てを建てる際には、ざっくりと大きく分けると

高度で専門的、緻密な計算を要する「構造計算」

簡易的な計算である「壁量計算」

という大きく分けると二つの安全を図る計算方法があります。

構造計算とは、ざっくりというと、

  • 建物の重さ(建物本体・積載物・積雪等)の計算
  • 地震や台風が来た時の計算
  • そのそれぞれの時に、建物の部材や地盤が耐えられるか、どれくらい変形するか、バランスは大丈夫か、などを計算

こんな感じです。

要は、構造計算している家、というのはめっちゃ専門的な計算をしっかりやって建てている家ということです。

ところが、建築基準法という法律では、ある程度の大きさまでは、2階建ての木造住宅は構造計算してくても良い、という特例があります。

構造計算にはお金がかかります。大体いろいろコミコミで50100万円くらい。

義務ではないものにわざわざお金も労力もかけない建築会社が多く、一般的な認知もないので、ほとんどの木造住宅2階建ては構造計算をせずに、もっと簡単な「壁量計算」という簡易計算で済ませています。

もちろん、「構造計算」をした方がより確実に地震に強い住まいであることが確認できますし、実際に計算してみると建物の強度がかなり違うことも多いです。

で、実は、この構造計算をしているかどうかで、耐震等級のレベルも変わってきます。

引用:第一住宅HPより

少しでも地震に強い家にしたいなら、地震が起きても大丈夫だという確率を上げるなら、先述のように、構造計算を必ず行いましょう。

多少費用はかかりますが、それで家族の命を守れる可能性がより高まるのであれば、価値のある費用ではないでしょうか。

地震に強い家のポイント② ハウスメーカーであれば、実大耐震実験を確認

引用:住友林業HPより

工務店では難しいですが、大手ハウスメーカーであれば実際の建物を揺らした耐震実験を行っています。実大実験をしているかしていないかであれば、そりゃあ耐震実験している方が安全である確率は高いでしょう。

ですので、ハウスメーカーで建てるかつ地震により強い住まいを求めるのであれば、実大耐震実験を行っているハウスメーカーをお勧めします。

しかしながら、ただ実験をしていればOKというわけでは決してありません!実大実験内容の注意ポイントをお伝えします。

耐震実験のここに注意!地震の大きさの単位

地震の強さを表す単位はいくつかあり、その中で「ガル」と「カイン」というものがあります。ハウスメーカーの耐震実験では、この単位が重要になってきます。

ガル(gal)とは

「ガル」とは、地震の加速度を表す単位で、数字が大きいほど加速度が大きい=地震が強いことを表します。うーん、難しいですね。

ざっくりと感覚をお伝えすると、ガルとは車を発進させる時のアクセルの踏み込み具合でしょうか。アクセルを一気にべた踏みすると車は急発進して車は短い時間でどんどん早くなりますよね。逆に、アクセルを少ししか踏まないと少しずつしか車は早くなりません。こんな感じです。

カイン(kine)

カインとは、地震の揺れの強さを速度で表す単位です。「ガル」が瞬間的な加速度であるのに対し、「カイン」は加速度に時間を掛けてエネルギーの大きさ、つまり地震の強さを示します。

さっきの車のアクセルで例えると、カインとは車の速さです。アクセルを一気に踏み込んだとしても、踏み込んだ時間が一瞬であれば車はほとんど加速しませんよね。逆に、アクセルをベタ踏みしたままであればどんどん車の速度は速くなります。さらに、アクセルを少ししか踏まなかったら、アクセルを踏んだままでもあまり車は加速しません。こんな感じです。

なので、「ガル」の大きさよりも「カイン」の大きさの方が建物の被害状況と一致するとされています。

ハウスメーカーの耐震実験の単位は「ガル」

ところが、ハウスメーカーの耐震実験の単位は「ガル」で表記されていることがとても多いです。

例えば、「東日本大震災と同じ2933ガルで揺らしました!」みたいな。

でも、それって何カイン?もっと簡単にいうと、何秒揺らしたの?それが表記されていないことがほとんどです。これでは、本当の意味で建物にどれくらいの負荷をかけたのかがわかりません。「アクセルめっちゃ踏みました!でも何秒踏んだかかはわかりません」ではどれくらい速度が出たのかわかりませんよね。

なので、広告やカタログの「ガル」だけに影響されず(もちろんこれも大事なのですが)、カイン(or何秒揺らしたか)も漏らさずに把握するようにしましょう。

耐震実験のここに注意!地震波の種類

これまでは地震の強さのお話でした。でも、地震には「建物が揺れやすい地震」と「建物が揺れにくい地震」があるのを知ってますか?

地震には「揺れの周期」っていうのがあって、この種類によって建物の揺れやすさ、被害が全く違ってきます。揺れやすい地震波ですとそこまで地震が強くなくても建物が倒れ、揺れにくい地震波ですと地震が強くても建物はほとんど倒れないという現象が起きます。

事実、東日本大震災は2699ガル というとてつもない地震の強さの地震でしたが、実は建物の倒壊被害はほとんどありませんでした(被害のほとんどが津波の被害であったとされています)

逆に、阪神大震災(891ガル)や熊本地震(1580ガル)では建物倒壊の被害は甚大でした。

どこのハウスメーカーとは言いませんが、「何千ガルで揺らしました!」ってい言いながら、建物がほとんど揺れない(=自社の工法だと揺れにくい)地震波ばかりで揺らしている耐震実験もあります。これ、意味ないですよね。

「地震波の周期何秒くらい」っていうのはとても難しい話になってしまうので、営業マンには

「何種類の地震波で実験したか」

だけ聞いてみましょう。その種類が1〜2種類とか、少ないようであれば要注意です。多いところは10種類くらいの地震波で実験しているところもありますので、地震の種類が多ければ多いほど、信頼性は高いと言って良いと思います。

耐震実験のここに注意!どんな建物を揺らしているか

「うちは耐震実験しています!」と言いながらも、実際に住むような建物で揺らしていない実験も数多く存在します。よくある事例としては

建物の規模=「1棟」の建物ではなく「1部屋」の建物でしか実験していない

建物の強度=実際に建てる建物よりも強くした骨組み(通常より耐力壁が多い)や間取り(窓が普通よりも少ない)の建物で実験している

建物内部の荷重=実生活の建物内部の荷重(家具や家電品等。実はめちゃくちゃ重い)よりも内部荷重を軽くして実験している

どれをどの規模で、というのは難しかもしれませんが、この質問をしたときに答えを言い淀むようであれば、少し疑ってかかった方が良いかもしれませんね。

 

地震に強い家のポイント③ 耐震構造よりも進んだ技術を取り入れる

家を建てる際の、地震に対抗する術は大きく分けて3つあります。どの構造を選択するのかは地震に強い家を建てるためにはとても大切な要素ですので、しっかりと覚えておきましょう。

  • 耐震構造・・・建物を頑丈にして、地震でも倒れないようにする
  • 制震構造・・・地震のエネルギーを吸収する装置を骨組みに組み込んで、倒れなくする
  • 免震構造・・・地震の揺れが建物に伝わらないようにする

耐震構造とは

地震エネルギーを建物の柱、梁といった主要構造の強度やねばり強さで耐える構造で、一般的に広く使われています。ほとんどの一戸建てがこの工法で建てられています。

しっかりとした対策をした建物であれば、大地震であっても人命の確保は十分に可能です。しかしながら、骨組みそのもので揺れに対抗するため、「倒壊」はせずとも建物に「損傷」被害が生じる可能性があり、修復・継続使用が難しくなる場合もあります。

また、揺れ自体は直接受けるため、家具の転倒などによる被害も考えられます。

制震構造

耐震構造よりも新しい構造様式です。

地震エネルギーを吸収する部材を建物に組み込むことで、地震発生時の揺れを軽減し、倒壊しないようにする構造です。

一番の特徴・メリットは、地震エネルギーを吸収するため、骨組みを「損傷」させにくく、また揺れを抑えることで家具の転倒等の被害も抑えることができることです。

デメリットとして、制震の装置を組み込む分、耐震構造よりも多少コストがかかります(1棟あたり50〜100万円ほど)。

免震構造

これも比較的新しい技術です。

基礎と建物の間に「免震装置」を設置することで、地震エネルギーの伝わりを遮断する構造です。

メリットとして、地震に対抗する手段としては最も効果が大きい構造で、大地震でも建物の被害がほとんどなく、家具の転倒も少なくてすみます。

デメリットはなんと言ってもコスト。1棟につき数百万円はかかり、メンテナンスも必要になります。また、敷地が広く必要、間取りの自由度が制限される等の特徴もあり、実際にはマンションや高層ビルで採用されることが多く、戸建てレベルではほとんど採用されておりません。

お勧めは「制震構造」

読んでいただいてお分かりの通り、費用対効果を考えたときにお勧めするのは「制震構造」です。

ハウスメーカーでは大手であればオプションで採用できるところが結構ありますし、工務店でも場合により可能です。

基本的に建築の法律や構造は「倒壊しない」ことを目的に作られているため、命が助かったとしても、建物の「損傷」が激しくその後の生活がままならないことケースが数多くあります。

実際に、「全壊・半壊なし」という建築会社の広告の裏には、そのままでは住めずに結局建て替える、もしくは補修に何百万円もかけてリフォームする、その間何年も避難所生活をする、と言った事実が隠されていることもあります。

どこまでコストをかけるかによりますが、住まいの、地震に対する優先度が高い場合には検討をお勧めします。

地震に強い家のポイント④ 二次災害に対抗する

これまで「地震=揺れ」として考えてきましたが、実際の地震の被害は揺れの被害だけではありません。場合により、「揺れ」の後の「二次災害」が被害の多くを占める場合もあります。

なので、この二次災害に対策を打っておくこともとても大切な要素となります。二次災害として多くある例を挙げてみます。

火災の二次災害

阪神大震災で起きた二次災害です。いわゆる住宅密集地で起こることが多く、地震の揺れに対抗できたとしてもその後の火災で燃えてしまう被害が多発します。

首都圏直下型地震の被害想定では、建物被害のうちの70%以上は火災の被害になるともいわれており、都市部や、都会でなくとも住宅街では火災の二次災害のことは十分に考えておきましょう。

また、火災に強い家かどうかは、これまで述べてきたような骨組みはあまり関係がありません。燃えている隣家からの延焼を防ぐことが大切になってくるため、最も大切なのは「外壁材」と「窓」になります。

住宅密集地に建築の場合は外壁材と窓に注意しましょう!

津波(水害)の二次災害

ご存知の通り東日本大震災での二次災害です。沿岸部や河川沿いで起こる可能性が高い二次災害です。(詳しくは地域のハザードマップで確認しましょう)

津波(水害)に対応できるかどうかは、骨組みの強度に加えて地盤改良が大切になってきます。

骨組み強度は、特に接合部(柱と柱や、柱と基礎)が大切です。あまり気にする人は少ないですが、地震の揺れでも水害でも、ここがポイントとなります。

また、地盤改良をしっかりしているかどうかも水害対策でのポイントとなります。

正直、東日本大震災クラスの何十メートルという津波の場合は戸建てレベルではどうしようもないでしょうが、それでも水害が起きそうな地域ではしっかりと対策をしておきましょう。

液状化の二次災害

東日本大震災の時の浦安市や、胆振東部地震の時の札幌市などが有名です、建物そのものが無事でも地盤から大きく傾いてしまう被害です。

液状化は、被害がある地域とない地域がはっきりしているので、地域のハザードマップなどから確認をしてみましょう。

液状化被害の可能性がある地域では、液状化対策としての地盤改良工事を必須としてください。

一般的に、液状化するような地盤は、地盤そのものの表層は砂質土で地盤強度が高いとされるところが多いです。なので、家を建てる前の地盤調査で「良好な地盤」と判定されて何も対策を取らず、地震の際の液状化で甚大な被害を受けることが多いのです。

いわゆる「地耐力」という地盤の強さと「液状化するかどうか」は別物ですので、必ず自分で液状化地域に該当するかどうかを確認しましょう。

土砂災害の二次災害

胆振東部地震の土砂災害が有名です。傾斜地に建っていたり、崖を背負っていたりする地域では要注意です。

土砂災害の被害としては、「自分の土地が崩れて傾く被害」と「土砂が流入してくる被害」とがあります。

自分の土地が崩れて傾く被害に対抗するには2点。

  • 敷地を支えている土留めを頑強なものにすること
  • 仮に土留めが崩れても建物自体には影響がないように深いところまで地盤改良をすること

地盤そのものの強度(地耐力)とは別に、崖上に建て流ような場合には地盤改良をお勧めします。

土砂が流入してくる被害については、多くの場合行政によって建築制限がかけられていると思います。(詳しくは地域の行政HPで確認できるます)

建築制限の内容としては

  • 崖から建物まで一定の距離を空ける
  • 土砂がきても大丈夫なように構造物(鉄筋コンクリートの壁など)を作る
  • 建物そのものが土砂でも大丈夫なように作る(=RC造)

最低限、これらをしっかり守って建築しましょう。

地震に強い家 まとめ

【地震に強い家にするためのポイント】

○構造計算は必ず行う

→木造建築は義務化されていないので、注意!

○耐震実験しているハウスメーカーを選ぶ

→実験の「揺らした時間」「地震波の種類の数」「どんな建物を揺らしたか」に注意!

○制震構造を選ぶ

→制震構造で「損傷」被害のことまで考える!

○二次災害まで考える

→火災、水害、液状化、土砂災害、何に該当する地域かを確認する!

これらに注意して、地震に強い家を建てましょう!

あなたの建築計画が最高のものとなりますよう、心を込めて・・・