住宅の性能

耐震等級だけでは不十分!?本当に地震の強さを求めるなら

  • 耐震等級って耳にするけど、どんな基準?
  • 耐震等級を満たしていれば地震に強いんでしょ?
  • 地震に強い家にするにはどうしたらいいの?

阪神大震災、熊本地震、東日本大震災・・・

まだまだあの惨劇が記憶に残っているのではないでしょうか。

日本で住まいを考える以上、避けては通れないのが地震の話。家族を守るために誰もが実現したい地震に強い家。

ここでは、割と一般的な言葉になってきた「耐震等級」という基準を通し、本当に地震に強い家とはどんなものなのかをしっかりと紐解いていきます。

意外に誤解が多い地震の話。これを読めば耐震への理解がしっかりと深まりますよ!

耐震等級って、そもそもどんな基準?

「耐震等級」とは、建物の地震の強さを示す一つの指標で、建築基準法とは別にある、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)によって定められている住宅性能評価制度です。

建物の成績表のようなものですね。で、この耐震等級は3段階ありまして、内容は以下の感じ。

耐震等級1

数百年に一度発生する地震の地震力に対して倒壊、崩壊せず、数十年に一度発生する地震の地震力に対して損傷しない程度。

耐震等級2

等級1で想定される1.25倍の地震が起きても倒壊・崩壊しない

耐震等級3

等級1で想定される1.5倍の地震が起きても倒壊・崩壊しない

このように地震に対しての強さを等級にしていて、耐震等級3がMAXです。これ以上は基準がないので「耐震等級4相当」とかはあり得ない基準で、その建築会社が勝手にアピールしているだけの言葉です。

では、最高レベルである耐震等級3の基準を満たしていれば、最高に地震に強い家なのか?

残念ながら、答えはNOです。

もちろん、ある程度の参考にはなりますが、「地震に強い家=耐震等級3の家」では決してありません。必要条件だけど十分条件ではないんですね。

その理由を紐解いていきます。

耐震等級だけでは足りない理由

まずはこちらの記事を見てください。

日本住宅新聞(平成21年11月5日)より

これは平成21年に国土交通省が行った耐震実験です。

耐震等級2(数百年に一度の地震でも倒壊しない強度の1.25倍の強度を持つとされる基準)の長期優良住宅の建物が、震度6強相当の揺れで倒壊してしまったという、衝撃的なニュースです。

どうしてこういうことが起きるのでしょう?

耐震等級の基準が甘い

実は、耐震等級で定められている基準がとても甘いものなのです。

先述のように、耐震等級は

「数百年に一度発生する地震の地震力に対して倒壊、崩壊しない」

「数十年に一度発生する地震の地震力に対して損傷しない」

という基準です。

この「数百年に一度発生する地震」とは、具体的にいうと400gal(ガル)程度の地震だとされています。(gal(ガル)とは、簡単にいうと地震の大きさを表す指標の一つで、数字が大きいほど地震が大きいことを表します。)

要は、

耐震等級1は400ガル

耐震等級2は500ガル(耐震等級1の1.25倍でも倒壊しない)

耐震等級3は600ガル(耐震等級1の1.5倍でも倒壊しない)

の地震が来ても倒れないくらいだってことです。

一方、以下はここ数十年で日本で起きた震度7の地震です。

1995年・阪神大震災:891ガル

2004年・新潟中越沖地震:2058ガル

2016年・熊本地震:1580ガル

2011年・東日本大震災:2933ガル

どうでしょう?一体どこが「数百年に一度の地震」なんだ、って感じですよね。ここ数十年だけで、最高等級である耐震等級3が耐えられる600ガルを大幅に超える地震が4回も来ています。

そもそも、この耐震等級は2000年に制定された基準。今から20年以上前の基準で、制定されてからも3度の大地震に見舞われています。

「耐震等級3だから大丈夫!」がいかに甘いことなのかがわかるでしょう。

耐震等級の「倒壊」と「損傷」の違い

くどいようですが、耐震等級は

①「数百年に一度発生する地震の地震力に対して倒壊、崩壊しない」

②「数十年に一度発生する地震の地震力に対して損傷しない」

という基準です。

①は「倒壊」しない基準、②は「損傷」しない基準です。

言い換えると、①の基準は「倒壊しない」けど「損傷する可能性がある」基準だということです。耐震等級3は600ガルという実際発生している地震よりも小さい地震で、建物は「損傷する」可能性があるのです。

例えば実際に被災して、仮に命が助かったとしても、自宅が損傷しそのまま住めない、避難所生活、ローンはまだ残っている、なんていう状況では相当苦しいですよね。

で、②の「損傷しない」基準でいう「数十年に一度発生する地震」とは約50〜100ガル、震度でいうと震度5強のことをいいます。

ちなみに、阪神大震災以降、震度5強以上の地震は35回発生しています。

何を持って地震に強い、というかは人によって違うと思いますが、仮に建物が「損傷しない」レベルを強いというのであれば、耐震等級3というだけではその基準が満たされないのがお分かりになるでしょう。

構造計算していないくても耐震等級3!?

木造建築を建てる際には、

高度で専門的、緻密な計算を要する「構造計算」

簡易的な計算である「壁量計算」

という大きく分けると二つの安全を図る方法があります。

もちろん、「構造計算」をした方がより確実に地震に強い住まいであることが確認できます。しかしながら、この構造計算は一般的な2階建一戸建てレベルであれば義務化されていません。構造計算はお金がかかるので、ほとんどの木造建築が構造計算をせずに壁量計算で済ませているのが現状です。

で、実は、この構造計算をしているかどうかで、耐震等級のレベルが変わってくるのです。

引用:第一住宅HPより

どうでしょう?同じ耐震等級3でも、構造計算しているかどうかでかなりレベルが違うのがわかりますよね。

ここから見ても、「耐震等級3」が地震に強い家の十分条件ではないことがわかると思います。

あくまで「新築時」の性能でしかない

これは耐震等級に限った話ではないですが、日本で定められている建築に関する基準の多くは「新築時」の性能を評価しています。

例えば、木造住宅の柱、新築時と築30年経った後と、全く同じだと思いますか?

それはあり得ないですよね。劣化の程度の差はあれど、湿気や荷重負荷などによる劣化、場合により害虫による劣化などもあるでしょう。

地震はいつくるかわかりません。

今かもしれないし、30年後かもしれない。

だったら、新築時の基準「だけ」で大丈夫とするのは早計ではないでしょうか。

耐震等級だけでなく、本当に地震に強い家を建てるなら

では、本当に地震に強い家を建てるにはどうしたら良いでしょう?

建てる建築会社・ハウスメーカーにによってできることは変わりますが、ポイントを簡単にまとめました。

詳しく知りたい方はこちら。

地震に強い家を建てる!守るべき4つのポイントはこちら!

構造計算を必ず行う

少しでも地震に強い家にしたいなら、地震が起きても大丈夫だという確率を上げるなら、先述のように、構造計算を必ず行いましょう。

多少費用はかかりますが、それで家族の命を守れる可能性がより高まるのであれば、価値のある費用ではないでしょうか。

ハウスメーカーであれば、実大耐震実験を確認

工務店では難しいですが、大手ハウスメーカーであれば実際の建物を揺らした耐震実験を行っています。

この耐震実験、内容は様々なので「これをやっていればOK!」というわけでは決してないのですが、それでも、実大実験をしているかどうかであれば、そりゃあ実験している方が安全である確率は高いでしょう。

ですので、ハウスメーカーで建てるかつ地震により強い住まいを求めるのであれば、実大耐震実験を行っているハウスメーカーをお勧めします。

耐震構造よりも進んだ技術を取り入れる

家を建てる際の、地震に対抗する術は大きく分けて3つあります。

  • 耐震構造・・・建物を頑丈にして、地震でも倒れないようにする
  • 制震構造・・・地震のエネルギーを吸収する装置を骨組みに組み込んで、倒れなくする
  • 免震構造・・・地震の揺れが建物に伝わらないようにする

日本の一戸建てのほとんどが「耐震構造」で、いちばんポピュラーな方法です。

この耐震構造よりも地震に対して効果が高いとされているのが「制震構造」と「免震構造」です。

この技術は、倒れないだけではなく「壊れにくい」というメリットもあるのでお勧めです。

デメリットとしては「費用」です。

特に免震構造は1棟につき数百万円かかるものですし、土地や間取りにたくさんの制約がつくので、マンションやビルでは良いのですが、戸建てでは正直あまり現実的ではありません。

一方、制震構造は免震構造ほど費用はかからず、1棟につき数十万〜百数十万円で、その効果は高いと言われています。

建築会社によって対応できるかどうかは変わりますが、対応できる会社であれば検討をお勧めします。

強いて言えば、鉄骨をお勧め

鉄骨住宅であればなんでも地震に大丈夫、というわけではないですし、もちろん木造住宅が全て危険な建物ではもちろんないです。

が、強いていえば、木造よりも鉄骨の方が地震に対する信頼性が高いといえます。理由は、

  • 木造は構造計算は義務ではないが、鉄骨は義務であるため
  • 木材は自然物(生き物)、鉄骨は工業製品で、素材として強度への信頼性が高いため

詳しくはこちらを見てみてくださいね。

木造vs鉄骨 あなたに合っているのはどっち?メリットデメリットを徹底解説! 木造と鉄骨って、どっちがいいの?何が違うの? 鉄骨の方が地震に強いっていうのは本当? 木造の方が安いんでしょ? ...

耐震等級について まとめ

地震対策は本当に難しくて、自然が相手なので「ここまでやれば絶対に大丈夫!」ってことは誰にもいえません。

「だからこそ、少しでも地震に強い家を!」という方と

「だから、どうせわかんないんだから、そこそこでいいよ」という方と

分かれると思います。どこまで強さを求めるかはそれぞれの価値観ですが、少なくとも、

  • 耐震等級は基準が甘い
  • 倒れないだけで、壊れる可能性はある
  • 構造計算していなくても耐震等級はとれてしまう

という理由から、「耐震等級」だけで十分ではないことは覚えておきましょう。

そして、より地震に対する強さを求めるなら

  • 造計算を必ずする
  • 耐震実験を行なっているハウスメーカーを選ぶ
  • 制震構造を取り入れてみる
  • 鉄骨住宅も視野に入れる

地震大国の日本ですから、自分のため、家族のため、地域のために、少しでも強い住まいにすることをお勧めします。

それでは、あなたの建築計画が最高のものとなりますよう、心を込めて・・・